ゲームスタイル研究所

研究所コラム

2017.01.13

次は「戦略シミュレーション×シューティングゲーム」がヒットする!?
アソシエーション分析で組み合わせを考えた

こんにちは。ゲームスタイル研究所の齋藤です。

 

コラムを書くのは初めてです。普段は主に定量的な視点から、「楽しいゲーム」「喜んでもらえるゲーム」はどういうものか、研究をしています。

 

みなさんは、「紙おむつとビール」というデータ分析の事例をご存知でしょうか。

 

米国の大手スーパーマーケットでの販売データ(POSデータ)を分析した結果、一見すると関係のなさそうな2つの商品が“併売”される確率が高いことが分かり、商品棚に並べて陳列したところ売上が向上した、というデータ分析の有名な事例です。

 

これは「アソシエーション分析(マーケット・バスケット分析と言われることもあります)」という統計分析の手法を用いています。

 

Eコマース分野における「この商品を買った人はこの商品も買っています」というような、「レコメンドシステム」にも、似たアルゴリズムが用いられており、広く活用されている分析手法です。上の例にもある通り、多くは“商品の併売”を知る目的で使われることが多い手法ですが、分析対象は商品である必要はなく「特定のアイテムの組み合わせがどの程度頻出するか」という問題であれば、他の分野にも応用が可能です。

 

そこで今回は、この「アソシエーション分析」を、好まれる「ゲームジャンル」に適用して、ジャンル間にどのような関係性があるのかを調べてみようと思います。

 

ゲームのジャンルには、「アクション×RPG」「恋愛×音ゲー」など、複数を組み合わせたものもよく見かけますが、「紙おむつとビール」のような新しい組み合わせを発見できれば面白いな、という探索的な分析になります。

 

---------------------------------------------------------------------

分析に用いるデータと分析環境、注意事項

今回使用するのは、調査会社が保有する「スマホゲームを現在遊んでいる人」モニター1,414名に対して、

「それぞれのジャンルが好きかどうか」を質問した、アンケート調査の回答データです。

選択肢として用意したジャンルの一覧は、下記の通りです。

 

また、アソシエーション分析は、オープンソースソフトウェアの「R言語」上で、{arules}パッケージを用いて実行し、{arulesVis}パッケージによって可視化しています。

1 RPG
2 経営シミュ
3 育成シミュ
4 戦略シミュ
5 恋愛
6 カード
7 アクション
8 シューティング
9 レース
10 格闘
11 スポーツ
12 アドベンチャー
13 ギャンブル
14 テーブル
15 パズル
16 音楽
17 クイズ
 

分析手法や、各パラメータ設定についての詳細な説明は、本記事では省きます。

「より傾向の強いもの」に絞って、結果の一部をご紹介している、とご理解いただければ幸いです。

ブログ感覚で、気軽に読んで頂きたいと思っており、説明を簡略化している箇所もございますが、何卒ご容赦ください。

---------------------------------------------------------------------

 

分析結果 ~やはり「アクション」と「RPG」は良い組み合わせ~

 

まず、調査データの全体を分析にかけて、結果を表にしたものが以下の図です。

2つのジャンルが交差するところのバブルを見て頂いて、色が濃くて、大きいものほど「関係性が強い」(=一緒に好まれることが多い)とお考えください。

1940984b4c3fe2f7492bc10bea27696848110648.png

※バブルサイズは、その組み合わせの起こりやすさを表す(全体の中でその組み合わせが起きる確率)

※バブルの色はLHSが起こった時にRHSが起きる確率を表す

 

 

① アクション×RPG

 

「アクション」が好きな人は「RPG」も好きと答える確率が高く、また逆も同じ傾向があることから、強い相関があると言えそうです。「アクションRPG」のゲームは、過去にもたくさんの名作が出ていますし、やはり良い組み合わせであると分かります。

 

男性のみに絞った分析結果 ~「戦略シミュレーション」と「シューティング」の組み合わせは面白い~

 

次に、男性のサンプルだけに絞って分析をした結果が図以下です。

Rplot_m.png

分析結果を順に見ていきましょう。

 

① アドベンチャー×アクション

 

男性の「アドベンチャー」好きは、「アクション」も好きと答える傾向があるようです。

 

② 戦略シミュレーション×シューティング

 

「経営シミュレーション」好きは「育成シミュレーション」も好きであり、反対も言えますので、単純に“シミュレーション系が好き”な層がいるようであると分かります。

 

しかし同じシミュレーションでも「戦略シミュレーション」好きは、「シューティング」「カード」も好き、というところで、違いが出ているのは非常に興味深いです。「戦略シミュレーション」は経営、育成とは違い、ゲームの目的として「敵を倒す・相手に勝つ」という性質をもっているため「シューティング」との相性が良かったり、その名の通り“戦略性”が高いゲームが多いということもあって、同じく頭を使う「カード」と相関が強いのではないかと、私は推測しています。

 

この、「戦略シミュレーション×シューティング」という組み合わせの具体的なタイトルは、私はあまり思いつきません。あまり世の中に出ていない新しい組み合わせかもしれませんね。

 

他にも「シューティング×アクション」、「レース×シューティング」など、良さそうな組み合わせがいくつか見られます。前者はFPSタイトル全般が近いですし、後者もレースをしながら相手を攻撃するようなタイトルがいくつか思い浮かびますので、これらは、やや既視感があるかもしれません。

 

③ 格闘と恋愛はどのジャンルとも良い組み合わせになる?

 

「格闘」が好きな男性、「恋愛」が好きな男性は、他のジャンルとの“組み合わせが起こる頻度”こそ小さい(=バブルサイズが小さい)ですが、たくさんのジャンルで強い関係性が見られます(=色が濃い)。

ここから、「格闘」好き、「恋愛」好きの人は、そもそも人数が少ないが、ジャンルを問わずゲームそのものが根本的に好きで、非常に多くのジャンルを「好き」と回答しているのではないか、というような仮説が立てられます。

 

分析結果(女性のみ) ~「恋愛」と「育成シミュレーション」が良い組み合わせ~

 

女性のサンプルだけに絞って分析したのが以下です。

Rplot_f.png

 

① 恋愛×育成シミュレーション

男性で「恋愛」を好む人は様々なジャンルを好んでいましたが、女性の「恋愛」好きは「育成シミュレーション」のみを一緒に好む傾向があるようです。女性の「恋愛」好きは、男性とは意味合いが違いそうです。

 

② 格闘はすべてのジャンルと良い組み合わせ?

一方で「格闘」好きは、男性と同じく、たくさんのジャンルで非常に強い関係性があるようです。

人数が少ないが、ジャンルを問わずゲームそのものが根本的に好きで、非常に多くのジャンルを「好き」と回答しているのではないか、という仮説が、「格闘」好きに関しては、女性でも成り立ちそうです。

 

こちらについては、最後におまけで検証をしてみます。

 

おまけ ~“格闘ゲーマー”はどんなジャンルでも好む本当のコアゲーマー!?

 

上記で、性別を問わず「格闘」好きは、多くのジャンルを好む「根本的なゲーム好き」ではないか、という仮説を出しました。

そこで、各ジャンルを「好き」と答えた人ごとに、そのジャンル以外で「好き」と回答したジャンルの平均個数を出して、ランキングにしてみましたので、おまけとしてご紹介いたします。

結果を見ると、やはり「格闘」ゲームが好きな人の、「格闘」以外で「好き」と答えたジャンル数が平均7.1個と、最も多くなりました。

 

ジャンル 回答個数
格闘 7.1
アドベンチャー 5.3
シューティング 5.2
レース 4.7
カード 4.3
恋愛 4.2
戦略シミュ 4.1
ギャンブル 4.1
アクション 3.9
スポーツ 3.9
音楽 3.7
経営シミュ 3.5
テーブル 3.1
RPG 3.0
育成シミュ 3.0
クイズ 2.8
パズル 1.6

 

まとめ

 

今回は普段の記事とは趣旨を変えて、「アソシエーション分析」という手法を使った分析事例をご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。ジャンルを好む組み合わせには、やはり傾向があるようだ、とお分かりいただけたかと思います。

たくさんの組み合わせが出てきましたが、中でも男性の傾向にあった「戦略シミュレーション×シューティング」という組み合わせは過去、あまり世に出ていないのではないでしょうか。

陣取り合戦や兵隊の配置など、戦略性の高いシミュレーション要素がありつつ、局地戦はシューティングアクション、などというようなゲームを男性向けに作ると、新しいジャンルとして受け入れられるかもしれませんね。

 


<調査概要>「市場動向調査2016」

・調査期間           :2016年6月

・有効回答数       :4,400名

(うち、スマホゲームを現在遊んでいる人 n=1,414)

・調査方法           :インターネット調査

・調査対象者       :全国 15歳~69歳の男女

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • RSSフィード

この記事を書いた人

writer

齋藤 慎平

1989年生まれ。大学では行動経済学、社会心理学を専攻。大学卒業後、総合ポータルサイト運営会社に入社。Web広告の営業を経たのち、ユーザー行動ログの分析、KPI策定、サイト改善やメルマガ配信の最適化、マーケティングリサーチなどの業務に従事。2015年セガに入社。

記事ランキング

1
女性はなぜパズルゲームが好きなのか?
2
スマホゲームで万人受けする"キャッチコピー"は何か!?
3
スマホゲームユーザーの1日辺りのスマホゲーム平均接触回数は4.6回
4
高校生にとってゲームアプリはどんな存在?スマホの中をのぞいてみた。
5
男子高校生・女子高校生のSNS利用状況。高校生がフォローしているのは誰?